生活保護から、社会復帰出来ない2849人の場合

生活保護をもらうと、働く意欲がなくなるのではないかと考える人がいるようです。

それは、事実なのでしょうか。

 

 

社会復帰のために使われるべき生業扶助の使い途

生業扶助は、生活保護における就労支援に利用されるべきものです。

でも、そのお金を受け取りながら、実際には生活に充てている保護者が、2849人もいたそうです。

 

これは、23年度に会計検査院から「平成23年度決算検査報告」の中で、厚生労働大臣に提出されたものです。

この2849人について、「技能修得費を支給した効果が十分に発現していない事態」として報告されています。

この人たち、被保護者に支払われていた技能修得費は、平成21、22両年度で1億2323万余円でした。そのうち、9242万円が国庫負担金として、国が負担していました。

 

被保護者が資格を取得していなかったもの

被保護者825人
支給された技能修得費1,269件計3566万余円(うち負担金相当額2674万余円)

生業扶助として支給されたのは、自動車免許取得のための314600円や、簿記検定資格のために請求された103,152円ですが、そのほとんどが、正しく使われていませんでした。

 

技能習得費を請求して、その費用を生活費に充てる人がいるんですね。

これは、許されることではない?

 

でも、職業訓練や自動車学校に通うためには、たくさん人がいるところに出向くことが必要だし、そこで話をしたり、注意されたり、命令されたりするのですよね。

普通の人なら、それは当たり前のことで何とも感じませんが、生活保護を受給している人は、精神病の方が多いということを考えると、途中で行けなくなってしまっても無理もないのかもしれません。

 

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被保護者が資格を取得するなどしたものの、就労に至っていないものなど

被保護者2,024人
支給された技能修得費3,679件計8757万余円(うち負担金相当額6568万余円)

資格に合格したり、全ての研修課程を修了したりしたことにより資格を取得出来たのに、その後、別の講習等の受講を希望するのみで、求職活動は進展せず、就労等に至っていませんでした。

 

技能習得費を無駄にはしないものの、資格を次々と取るだけで、仕事に就かないまま生活保護を受け取り続ける人もいるんですね。

もしかしたら、たとえ就職しても、すぐに辞めてしまう人も多いかもしれません。

 

生活保護をもらい始めると、働いただけ受給額が下がるから、働くだけバカバカしいのだろうと言う人がいます。

でも、そうやって働かない人を馬鹿にするのは、無責任だと思います。

 

生活保護をもらわなければ生きていけない人たちの気持ちや葛藤を、よく知らないで批判するのは間違っているのではないでしょうか。

 

保護者に寄り添う方向で、このことを考えていくと、ふっと疑問が湧いてきました。

誰でも、請求すれば生業扶助って、貰えるのでしょうか。

そこで、調べてみました。

 

平成25年11月22日厚生労働省社会・援護局保護課 による 「生業扶助及び一時扶助について」

この資料によると、就労支援の支給が認められるのは、稼働能力のある者となっています。

稼働能力のある者たるには、次の3つの条件を備えていることが必要

    1. 就労の意欲があること
    2. 働く能力があること
    3. 働く場所があること

生業支援として、二種類の支給が認められます。

 

生業支援

○生業費の支給

専ら生計の維持を目的として営まれることを建前とする小規模の事業を営むために必要な資金又は生業を行うために必要な器具、資料

この場合の小規模の事業とは?

食料品店(個人商店、八百屋、個人製菓店等)、文化品店(書店、古本屋、文房具店、印章店、玩具店、生花店等)、飲食店(中華そば店、大衆食堂、喫茶店等)、自由業(大工、植木職等)その他製造加工修理業、サービス業等多岐にわたる種類があげられ、これら小規模事業を営むに必要な設備資金、運転資金を対象とする。

でも、これらの事業の運転資金として支給されるのは、基準額45,000円以内、やむを得ない事情があると認められるときは特別基準額75,000円以内だそうです。
(平成25年8月)

これって、事業資金としては、とても少ないですね。

この件については、自治体から、基準額が低いため、具体的な支援ができないので、基準額の見直しが必要だという意見があるみたいです。

 

実際に、どんな費用に充てられたかというと、

【主な支給実績】
①建設作業員(工具、作業着) ・・・47自治体
②飲食業(調理器具等) ・・・17自治体
③ハウスクリーニング等清掃業(ポリッシャー等清掃器具、作業着) ・・・16自治体
④大工(工具、作業着)・・・14自治体
⑤とび職(工具、作業着) ・・・12自治体
⑥その他(作業着等)・・・75自治体

 

 

○技能修得費の支給

生計の維持に役立つ生業に就くために必要な技能を修得する経費を支援

※貸付制度の活用

  • 母子寡婦福祉法による貸付資金(対象:事業開始(上限額:283万円以内)、技能修得に必要な経費(上限額:月額6.8万円以内)等)
  • 福祉資金貸付制度要綱に基づく貸付資金(対象:事業開始(上限額:480万円以内)、技能修得に必要な経費等(上限額:580万円内))

 

実際にどんな費用に充てられたかというと、

訪問介護員(ホームヘルパー)の研修や国家資格の取得を行う場合など(技能修得に直接必要な授業料(月謝)、教科書・教材費、当該技能修得を受ける者全員が義務的に課せられる費用等の経費、資格検定等に要する費用(ただし、同一の資格検定等につき一度限りとする)等が対象)。

 

基準額75,000円以内、特別基準額124,000円以内

技能修得のため交通費と必要とする場合は実費を加算

しかし、これでは、職業訓練校に通得る金額ではありませんよね。

その点は、このように書かれていました。

次のいずれかに該当するときは380,000円以内の特別基準とする。
① 生計の維持に役立つ生業に就くために専修学校又は各種学校において技能を修得する場合であって、当該世帯の自立助長に資することが確実に見込まれる場合
② 自動車運転免許を取得する場合(免許の取得が雇用の条件となっている等確実に就労するために必要な場合に限る。)
③ 雇用保険法に規定する教育訓練給付金の対象となる厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講する場合であって、世帯の自立助長に効果的と認められる場合(原則当該講座修了によって世帯の自立助長に効果的と認められる公的資格が得られるものに限る。)

なるほど、これによって、自動車学校に通うための費用や、専修学校又は各種学校に通うための費用が支給されるんですね。

でも、これには、上記にあるように、重いただし書きがあります。

「当該世帯の自立助長に資することが確実に見込まれる場合」「免許の取得が雇用の条件となっている等確実に就労するために必要な場合に限る。」とあることを、この制度を利用する人が自覚する必要があるのではないでしょうか。

 

ですから、先ほどの、自動車学校通うために、314600円を受け取った人は、免許を取った時点で確実に就職できるという見込みがあって、受け入れ先も決まっていたということになります。

そうなると、やはり働くことへの意欲が、足りなかったのではないかと、云われても仕方がないかもしれません。

 

自動車免許取得目的のほか、実際に、この支給を受けたケースは、自治体へのアンケートによると、以下のようなものがありました。

【主な支給実績】(複数回答)
①生業に就くため必要な技能・・・367自治体
②自動車免許取得 ・・・・ 269自治体
③教育訓練講座 ・・・・・129自治体
④自立支援プログラムに基づく支援・・・110自治体
⑤技能修得手当等 ・・・・107自治体
⑥専修学校・各種学校・・・104自治体
【主な技能修得、教育訓練講座等の内容】
①福祉関係(ホームヘルパー等) ・・・ 369自治体
②自動車免許取得 ・・・249自治体
③コンピュータ操作等基礎的能力 ・・ 215自治体
④電気・建設関係 ・・・161自治体
⑤医療関係 ・・・ 74自治体

 

自分が生活保護を受けられることさえ、自覚していないでワーキングプアに陥っている人がいるくらいです。

生活保護を受けていても、適切な職業訓練や資格を得るために、利用できる制度が、こんなにあるということを、知らない人はたくさんいるはずです。

 

これらの情報を参考にして、生活保護は恥だから受けたくないなどの考えを改めて、生活保護社会復帰のために利用するべきではないでしょうか。

 

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