実は、あるシングルマザーの方から、「多少グレーなことをしてもいいので稼ぎたいので、成功する方法を教えてください」という相談を受けました。つまり、成功するためなら違法すれすれでいいから稼ぎたいということですよね。これを聞くと、業務停止などの処分を受けるネットワークビジネスが後を絶たないのは無理もないことと思えてきます。
最近、業務停止を受けたネットワークビジネス
はたして違反やむなしと考える人は多いのでしょうか。あなたもその方法を知りたいですか?
- 今にも死にそうな人を探して、これを飲めば病気が治るとだます
- そこそこ小金ためてるそうな情報弱者を見つけて、楽に確実に儲けられるといってだます
良心の呵責にさいなまれることなくそんなことを平気で言えたら、確実に儲けられると思います。実際、規制が厳しいと言われながらも、個人レベルではこういうことがまかり通っているのがネットワークビジネスの世界です。
そのような違反者が多くなると、消費者庁は企業に対して指示や業務停止などの処分を言い渡します。そうやって、MLM企業で業務停止などの処分を受けた会社と理由については、消費者庁のHPで見ることができます。
業務停止などの処分を受けた会社一覧
以下は、平成25年4月~平成30年9月27日までに処分を受けた業者一覧で、リンクをクリックするとそれぞれの企業が処分に至った経緯が記された消費者庁の資料が見られます。
- (株)iXS(イグス)
- ジャパンライフ(株)
- 48ホールディングス(株)
- フォーデイズ(株)
- (株)e-win
- (株)IPSコスメティックス
- (株)ナチュラリープラス
- (株)エコプロジェクト
- (株)高陽社
- ロイヤルジャパン(株)
- (株)リゾネット
- (株)M3(エムスリー)
- (株)ウィル
- (株)グラシアス
業務停止になった理由
これらの業者が行った違反行為は、以下のようなものでした。(ざっとまとめておきましたが、詳しくは、消費者庁のHPでご覧ください。)
- 名称・勧誘目的の不明示(法第33条の2)
→名称及び特定負担を伴う取引についての勧誘をする目的であることを告げていなかった。 - 不実告知(特定利益に関する不実告知)
→簡単に(数十万の)お金が入るような口ぶりで勧誘
→簡単に勧誘できるかのように説明
→その可能性の乏しさや困難さに全く言及しなかった - 重要(特定負担)事項不告知(法第34条第1項第2号)
→オートシップについて説明していない - 重要(契約解除)事項不告知(法第34条第1項第3号)
→クーリングオフについて説明していない - 商品の効能に関する不実告知
→「1か月飲み続けるとどんな病気でも良くなる。元気になる。」 - 契約書面の不交付、不備
- 公衆の出入りしない場所での勧誘、迷惑勧誘(法第34条第4項)
→サインするまで帰らせてくれないような雰囲気 - 適合性原則違反
→安全な投資を望んでいる人に、リスクの大きな商品の勧誘をする
→収入のない学生に〇〇ローンで借りてきてといった - 契約書面に虚偽記載をさせる行為
→父母の署名を本人に書かせた
以上のような勧誘を行っているネットワークビジネスは、今は大丈夫でも近いうちに処分を受ける可能性があります。もし、そのような違反を行っていない人がいても、他のD.Sが違反を行っていれば処分の可能性があります。
こうした違反で命じられる業務停止とは、どのような処分なのでしょうか。
違反の程度によって、6か月、9か月という長さの違いはありますが、処分の期間中、新規ダウン獲得ができないというだけで、会社は製品を販売して収益はありますし個人のD.S(違反者を除く)は、報酬を受け取っています。つまり少しの間我慢していればまた再び事業を再開できるわけです。
では違法行為によって、騙されて契約した人はどうなるのでしょうか。
違反の責任はだれがとってくれるのか
D.Sが違反したとことによって騙されて製品を購入した人は、クーリングオフの期限内であればお金を返してもらうことができますが、期限が過ぎていればクーリングオフで契約を破棄することはできません。つまり、会社が処分を受けたからと言って被害者に対して自動的に救済処置が行われることはないのです。
つまり泣き寝入り。なんだか釈然としませんね。
ここから学べることは、ネットワークビジネスとは、D.Sが個人的に「法律違反や嘘や・だまし」の手口で会員を増やし、会社がそれを黙認することで成立しているビジネスだということになります。
- ネットワークビジネスでは、「法律違反や嘘や・だまし」は常套手段
- 「法律違反や嘘や・だまし」が得意な人はネットワークビジネスで成功しやすい
- 「法律違反や嘘や・だまし」なしでネットワークビジネスで成功するのは難しい
- 処分を受けてもネットワークビジネスは、違反があっても一時的に処分を受けるだけ
だから、ネットワークビジネス自体は違法ではないのに、多くの人の認識は「怪しくて、関わりたくない」ビジネスなのです。だから、「法律違反や嘘や・だまし」を排除してもダウンを獲得できるようにしなくては、ネットワークビジネスに未来はありません。
マイク・カキハラ氏の9つの嘘を検証
こうして現実を見ていくと、ネットワークビジネスのD.Sがよく口にする言葉には嘘があることは否定できません。乱暴な発言かもしれませんが、ネットワークビジネスは嘘が当たり前の世界といってもいいのもしれません。
マイクカキハラ氏の「九つの嘘」は有名ですね。あなたはこれを見て、どれが嘘だと思いますか?
- 誰にでもできる
- 世界中の人が見込み客
- セールスではない
- ABCで簡単にリクルート
- 商品が良ければ勝手に売れてしまう
- 伸びている会社だから大丈夫
- 組織を自動構築される。ノルマが無い
- 早く参加するほど稼げる
- 成功できると信じれば成功できる
誰にでもできる
これは、誰でも始められるという意味では正解なのですが、誰でも成功できる、儲けられるという意味で使うとしたら嘘になります。ネットワークビジネスでは、ダウンを一人も獲得できない人が半数以上いるからです。
世界中の人が見込み客
これは、アムウェイなど100以上の国や地域に広がっている会社なら嘘にはならないかもしれませんが、実際問題として言語の問題などありますから、世界中の人が見込み客といわれても、ピンとこないですね。ま、しかし、人から人へ広がっていくのですから知り合いが海外に人脈をもっている可能性もあるので、あながちウソとは言えません。
セールスではない
セールスとは、Wikipediaによれば、「個人消費者の自宅を訪問して営業活動をする人」のことを主に指すようです。ネットワークビジネスとセールスと違うところは、職業として行うか、自発的に行うかの違いでしょうか。
もっと言えばお金で動くか心で動くかです。ネットワークビジネスは、相手のためを思って厚意で口コミをするので、職業であるセールスとは違うという意味です。だから、ネットワークビジネスは、セールスのような話術や専門知識がなくても、大丈夫!誰でもできるよと言いたいのでしょうね。
ABCで簡単にリクルート
abcとは、紹介者である自分が、自分の知人である見込み客を呼び出し、口コミの経験豊富な第三者を引き合わせて説得する、ネットワークビジネスの独特のリクルート戦略です。
つまり知り合いを連れてきてくれれば自分が上手く説得して成約を取り付けてやるよ、という意味です。実際はそう簡単にいかないのですが、勧誘が苦手な人には、このように言って安心させて成約させます。
商品が良ければ勝手に売れてしまう
これは、100%嘘ですね。どんなにいいものでも、勝手に売れることはないので、起業はお金を払っているのです。どんないいものでも、売るには宣伝が必要なのです。本当に奇跡の商品で、癌がけろりと治り、動脈硬化の血管を若いころに戻し、見た目も20歳も若返らせる商品だったら、本当に勝手に売れていくでしょうが、そんなものはあり得ません。製品の良さを上手に伝えることができて、初めて物は売れるのです。
h3>伸びている会社だから大丈夫
絶対につぶれない会社などありません。でも、会社の実績や製品、理念など、じっくり話を聞くことで、信頼に値するかどうかを判断することができます。でも伸びているという表現は、ランキング上位の会社ならある程度証明できますが、普通は確かめようがないことです。伸びているということによって、人気がある、ダウンができやすいと伝えようとするのでしょうが、鵜呑みにするべきではないですね。
組織を自動構築される。ノルマが無い
自動構築という表現には、自分が何もしなくても組織ができて収入が発生するような含みがあります。少なくとも、自分でダウンラインを五本くらいは作らないと行けません。そのすべてのダウンラインが、上手く伸びて順調に組織が広がっていく可能性はゼロではありませんが、まずあり得ないことです。ですから、組織を自動構築されるというのは嘘だと言えます。組織は、横にも縦にも自分で努力して伸ばしていくものです。
早く参加するほど稼げる
紹介者がそういうのは、早く参加してほしいからです。しかし、組織収入は、自分が作った組織の大きさによって決まるので、ダウンを獲得できない人は10年やっていても収入はないですし、今年はいったばかりの新人でも数か月のうちに大きな組織を作れば大金を稼いでいます。
まあ、自分の作った組織からの収入はアップにも行くわけなので、アップのほうが稼いでいるのかもしれませんが、ネットワークビジネスの報酬プランは、どこでもがんばった人に収入が行く仕組みなので、すぐに追い越すことができます。
成功できると信じれば成功できる
これは、ある意味で本当かもしれません。成功出来ないと思っていたら、何事も努力しないですからね。それに、ほかのことで過去に成功体験のあるなしは、大きく影響するかもしれません。ほかの事業で成功した、競争率の高い大学に合格した、通信教育で難しい資格を取ったなど、なんらかの功体験のある人は、自分は、どんなことでも努力す、普通より早く結果を出しています。
九つの嘘 まとめ
D.Sの言うことは、100%嘘ではないですが、自分に都合のいいように受け取ってしまうということもあります。「大丈夫!私がついている」と言ってくれたからといっても、あなたのビジネスをアップ(紹介者)が代わりにやってくれるわけではありません。
参加したら、どう「大丈夫」なのか尋ねてください。具体的に、自分はなにをすればいいのか。どうやれば成功できるのか、どうやって助けてくれるのか、納得できるまで話をききましょう。それであいまいな説明しかないのでしたら、そのアップはまだ成功していません。その人の「大丈夫」は、まったくあてにならないということです。
「違反や嘘・だまし」を見分けることが大切
ネットワークビジネスなど嘘ばかりじゃないかと、関わらないと決めたなら、徹底的にアンチになって避けて生きてください。でも、ネットワークビジネスに魅力を感じているなら、D.Sの嘘八百に惑わされないで、本当に信用できるネットワークビジネスをみつけてください。
D.Sの質が低いからと言って、その人のやっているビジネスが質が低いわけではないからです。よく、「何をやるかではない、誰とやるかだ」と主張する人がいますが、ネットワークビジネスの場合それは間違いです。
会社がどうか、製品がどうか、プランがどうか、評判がどうか、消費者センターに苦情がとどいていないか、本社の応対はどうか、セミナーは洗脳的か、コンプライアンスはどうか、規約はしっかりあるか、買い取り制度やクーリングオフはどうなっているか、などなど、紹介者が説明しないことまで、しっかり調べてから参加するかどうかを決定する必要があるでしょう。